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2004.05.25

映画『パッション』・すばらしい音楽

 映画『パッション』を見た。
 イエスの鞭打ち刑から十字架にいたるまで、残虐な場面が続くというので注目されている作品。確かに気の弱い人にとっては、正視できなくなるような残虐な場面が続く。これは賛否の分かれるところであろう。
 監督のメル・ギブソンは最初にイザヤ書53章のみことばを掲げているように、キリストの苦しみ、打ち傷を忠実に描こうとしたのであろう。そこに贖いのメッセージがあると聖書は語る。この残虐な場面、一方ではそれはキリストの打ち傷と苦しみとを表わしているのであるが、その場面の中に、いくつかの聖書の重要なメッセージが挿入される。最後の晩餐の場面の《これは、わたしの契約の血です。罪を赦すために多くの人のために流されるものです》や、《自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい》などが挿入されて、それによってキリストの苦しみの意味が、より深く説明されている。ギブソンは単に残虐な場面を描くのではなくて、聖書のメッセージをより具体的に提示しようとしているのではないか。
 聖書のドラマをそのまま描いているので、聖書を良く知らない人には、出来事の意味がよくわからなかったのではないか。聖書そのものでも謎ではあるけれども、イスカリオテ・ユダがなぜイエスさまを裏切ったのかがドラマとしては意味不明ではなかったか。また祭司長たちがどうしてあそこまで熱心に、イエスの十字架刑を要求したのかも、ドラマとしてはよくわからないのではないか。クリスチャンたちもあの時代のユダヤ人とローマ政府との関係を、十分に理解しているとは思われない。したがって聖書的背景のない日本人の観客にとっては、ただ残虐な場面だけという印象になってしまうのではないだろうか。

 音楽は非常に良かったと思う。いわゆる「アーメン終止」と言われるものを動機としたコラール風の美しい旋律と、それにオーバーラップしてくる激しい音楽。それは打楽器や叫び声や、物を打ちたたく音などの強烈な音響と、人々の叫び声や、悲鳴のように響く旋律などで、イエス自身の苦しみの叫びや、人々の恐怖などが音響化されている。全編ほとんどに音楽がつけられているが、その激しい音楽は、時には単なる音響効果のように聞こえるほどである。
 この二つのまったく異質な音楽が組み合わされていくことによって、イエスに対する激しい残虐さと人々の狂乱の中に、神さまの御わざが実に静かに確実に進められていくことが描かれている。したがって画面が残虐であればあるほど、この音楽によって、その見た目の残虐さの背景にある静かな神のみわざが感じられる。そこにはキリストの打ち傷によって、私たちはいやされたというイザヤ書のメッセージが見事に描かれていると言える。
 特に残虐な場面の中に突然挿入される回想場面では、静かな旋律だけが演奏されてイエスさまのメッセージを浮き上がらせて、良い効果を挙げていた。この音楽の作り方は、バッハの『マタイ受難曲』のなかの、イエスのことばが歌われるレシタチーヴォには、やわらかい響きの弦楽合奏がつけられていることからヒントを得たのではないか。
 音楽は非常に良かったと思う。

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「パッション」オリジナル・サウンドトラックはもうお買い求めになられましたでしょうか?私はサントラではなくもうひとつのCDを買いましたが・・・。

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