« どうなるガザ地区 | Main | 牧師のお仕事 »

2004.05.04

イエス・キリストの十字架物語 9

 大作曲家バッハの作品に『マタイ受難曲』という名曲があります。この曲はマタイの福音書の受難のところを、そのままひたすらに読んでいくという曲です。そのなかにアリアや合唱曲や、コラールと呼ばれる讃美歌がちりばめられています。この曲は世界中のすべての音楽作品の中でも、最もドラマチックで、最も美しい傑作ではないかと思います。
 この中の20番目(新バッハ全集の番号)の曲は、このゲツセマネの物語の中で歌われます。それは通奏低音の上に載って、オーボエのソロと、テナーのソロが歌われ、それに合唱が加わるという構成になっています。
 この曲の題は「私はイエスとともに目覚めていよう」です。この曲の前に歌われるテナーのソロと合唱のレシタティーヴォは、イエスさまの深い悲しみともだえとが歌われ、実に悲痛な曲です。それに続いてこの曲は、全68曲ある中でも、最も美しい曲と言ってもいいようなものです。イエスとともに目覚めているとき、私の罪は消え去って、喜びがあふれてくると歌います。オーボエソロと、テナーの美しいメロディと、優しい響きのする合唱とが、この喜びを歌い上げていきます。ほんとうに美しい曲です。

26:39 それから、イエスは少し進んで行って、ひれ伏して祈って言われた。「わが父よ。できますならば、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの願うようにではなく、あなたのみこころのように、なさってください。」

 イエスさまは「できますならば、この杯を過ぎ去らせてください」と祈ります。「杯」というのは神の怒りを表わす象徴的なことば(黙示録14:10、16:19)です。ということはこれから歩んでいこうとしている十字架の道は、神の怒りのわざであることを意味していると言えます。
 すなわちイエスさまは人の手によって十字架という手段で処刑されたけれども、それは神の怒りの現われであって、神が人のすべての罪に対する怒りを、イエスさまの上に下されたことを意味するのです。それゆえに神の御子であるお方にとっても、この十字架の犠牲というわざは、できれば避けたいものであったこと。言い換えれば十字架という方法は、神ご自身からはまさに非常手段であったことを暗示しています。
 しかしイエスさまは「あなたのみこころのように」と祈り、天にあって、この地上に下ってこられる前に、天上の会議で決定されたことに、全面的に従うという決意が表明されています。
 神の怒りがイエスさまの上に下されたということは、神を信じないで自分勝手な生き方をしていた私たちに下されるべき神の怒りが、私たちの代わりにイエスさまの上に下されたということを意味します。

26:40 それから、イエスは弟子たちのところに戻って来て、彼らの眠っているのを見つけ、ペテロに言われた。「あなたがたは、そんなに、一時間でも、わたしといっしょに目をさましていることができなかったのか。
26:41 誘惑に陥らないように、目をさまして、祈っていなさい。心は燃えていても、肉体は弱いのです。」
26:42 イエスは二度目に離れて行き、祈って言われた。「わが父よ。どうしても飲まずには済まされぬ杯でしたら、どうぞみこころのとおりをなさってください。」
26:43 イエスが戻って来て、ご覧になると、彼らはまたも眠っていた。目をあけていることができなかったのである。
(聖書の引用は『新改訳聖書』からです)

 イエスさまの祈りに表わされている緊張感に対して、弟子たちの気のゆるみが描かれていきます。もっともこのときはすでに深夜になっていたと思われるので、眠ってしまったのもやむをえないと、同情するのです。「心は燃えていても、肉体は弱い」というのは、私たちキリストの弟子であるものたちに対しても、良い警告であります。

« どうなるガザ地区 | Main | 牧師のお仕事 »

「聖書」カテゴリの記事

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18113/537967

Listed below are links to weblogs that reference イエス・キリストの十字架物語 9:

« どうなるガザ地区 | Main | 牧師のお仕事 »

August 2015
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ