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2005.06.08

靖国神社参拝問題

 河野洋平衆議院議長が、森善朗前首相と小泉首相に面会し、靖国参拝を再検討するように申し入れた。これは首相経験者、森氏を含めて5人に意見を聞いて話し合ったことだという。中国から非常に強い意見が出ているので、国策上慎重に行動しなければならないと忠告した。中曽根氏が一度参拝したが、同じく中国からクレームがあって次回からは取りやめた。これが現在の内閣の共通した考えだと言ったとのこと。
 元自治相・野田毅氏は毎日新聞6月7日付の「討論」という特集で、《「殉国の英霊」という表現があるが、国の命令で戦場に出て、非業の死を遂げられた方々に感謝の誠をささげることは当然だ。だけど、そこへ引っ張っていった人たち(A級戦犯)は英霊じゃない。殉国の英霊をみんなが心から慰霊できる神社でありたいと思うのなら、靖国神社はどうすべきか判断してほしい。何もA級戦犯の方々を足げにするつもりはない。靖国神社から削除し、別の人たちが別の場所で祭ればいい》と発言している。

 この問題については、ほとんどが「A級戦犯」を分祀するかどうかという議論が中心になっている。しかし問題は靖国神社の存在の本質にかかわる問題であると思う。靖国神社というのは、もともと戊辰戦争と呼ばれる明治新政府を立てようという勢力と、それにあくまでも抵抗しようとする江戸幕府支持軍とが、日本各地で戦った戦争である。このときに戦死した人を、後に明治政府が祭るために立てた神社である。当時は「招魂社」と呼ばれていた。したがって靖国神社とは、その建立の最初から、天皇の為に戦って戦死した人々を祭る神社であった。第二次世界大戦で戦死した人が祭られているのであって、この戦争で被害を受け亡くなった国内の一般市民については何もしていない。ここには明確な差別の思想があると思う。天皇の為に戦死したかどうかが、その基準である。したがって今でも天皇がこの神社に参拝することを求めている人たちはたくさん居る。戦後しばらくの間は、昭和天皇は靖国神社に参拝していたはず。
 そこに「A級戦犯」が祭られているか否かが問題なのではなく、天皇を中心とする大日本帝国の土台があるのが問題ではないか。したがって小泉首相のように、参拝して何が悪いという論理が成り立つ。世界中は日本を中心に動いている、あるいは動くべきだと思っているのではないか。だから今でも「平成」の御世だなどと平気で言っているのではないか。そんなことを言っているのは、少なくともいわゆる先進国では日本だけなのではないか。
 「A級戦犯」というのは私には日本という国自体を誤らせた重大な責任があると思える。敗戦という悲惨な経験を日本国民に強制した。広島で、長崎で、沖縄で、何万という一般市民は、この戦争に巻き込まれていのちを奪われていった。その責任は日本の指導者たちにあるのではないのか。小泉首相はこの人たちに敬意を表し、この人たちのしたことを尊敬し、そしてその上で平和の決意をすると言う。そして靖国神社を後にすれば、イラクに自衛隊を送り、国連の常任理事国のメンバーに割り込んで、結局は再び戦争の出来る国づくりをしようとしている。これが小泉首相の意味不明な「適切な判断」ということばの意味内容であろう。

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Comments

初めまして、弓木といいます。
靖国は、実際行けばすぐにわかるが、長州の軍事指導者・大村益次郎を記念してつくられた神社です。
靖国のもとは「東京招魂社」。この「招魂社」とは、そもそも「幕長戦争」のとき、長州権力が下層民をアジテーションするために発明したものでした。死者を「官/賊」に差別することで、戦争協力を鼓舞したのです。
つまり靖国は、実は日本古来の神道とも関係なく、長州権力の「戦争機械」として設営されたものです。
長州閥は、明治-戦前までは「帝国陸軍」というかたちに偽装していました。
それが戦後-現在は、「自民党」のかたちを取っているわけです。
とりわけ自民党内の「森派」が長州閥の核となっています。小泉はしょせん森の番頭なので、長州イデオロギーに犬のよう忠実なのです。
靖国問題は、「日中」「日韓」問題なのでなく、それ以前に「日本自身」の問題だと考えます。

>そして靖国神社を後にすれば、イラクに自衛隊を送り、国連の常任理事国のメンバーに割り込んで、結局は再び戦争の出来る国づくりをしようとしている。これが小泉首相の意味不明な「適切な判断」ということばの意味内容であろう。
>

再び戦争の出来る国づくりをしようとしている=
普通の国家という意味でしょう。現在の日本が国際社会では異常です。

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