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2005.10.31

モダンジャズはどこへ

 『東京大学のアルバート・アイラー』という本を読んだ。副題が「東大ジャズ講義録・歴史編」となっている。著者は実際にこの講義を担当した菊池成孔(なるよし)氏と大谷能生(のりお)氏のふたり。これは2004年4月から一年間、実際に東京大学駒場キャンパスの1313教室で行われたモダンジャズの盛衰についての講義の記録。
 400人くらい収容のこの教室は八割がたの入りだったらしいが、なんとその半数以上はもぐりの人たちだったとのこと。事前にこの講義のことを知っていたら私ももぐりで聞きに行っていたかもしれない。読後感は非常におもしろかったというもの。
 ふつうジャズの紹介文や批評文というものは、その執筆者の主観的な感情論だけで書かれているものがほとんど。この本を読むと、モダンジャズというものがどういう構造になっているのかを知ることができる。私も最近になってジャスの理論を学んだので、その辺のところは十分に納得しながら読むことができた。
 副題には「歴史編」とあるとおり、モダンジャズがどのようにして生み出されてきて、どのように崩壊していくのかが、とてもよくわかった。私も一時のビバップ熱に引きずられていたが、そこから新しい感覚のモダンジャズが誕生することによって、ほとんどこのモダンジャスに入り浸りになっていた。しかしその後、理論的にもテクニック的にも、おそらくこのモダンジャズというジャンルの音楽は行き詰まってしまったのではないかと思われる。私は一時はジャズから離れてクラシック音楽ばかりを聴いていたが、ここ10年くらいの間は、ふたたびジャズを聴くようになった。
 私の感じではそのブランクの間にモダンジャズは完全に様変わりしていたというものであった。それがどうしてなのか良くわからなかったが、この本を読んでやはりモダンジャズは崩壊してしまったのだと納得した。最近のジャズの演奏は、テクニックばかりが先行してしまっていて、かつての高度な音楽性というものがなくなってしまったように思う――きわめて主観的な感情論ではあるが。
 ジャズの側から言わせると、やるべきことは全部やってしまったという感じであり、聴衆の側から言わせると、あの高度な音楽性と、黒人性(?)が受け入れられなくなったからなのではないか。「東京ジャズ2005」というイベントがあった。このイベントをあとでテレビで放映されたのを見たが、確かにテクニックのものすごさというものはあるが、実はそれだけではないかと思える演奏ばかりであった。かつてのモダンジャズを開拓して行った人たちの演奏には、豊かな音楽性と、インプロヴィゼイションの緊張感とが、その中心にあったと思う。そういうものがなくなってしまった今のジャズは、下手をすると単なる騒音になってしまうのではないかと思う。

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