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2006.05.25

経済的豊かさか、心の豊かさか

 次期経団連会長にキャノンの御手洗富士夫社長が内定した。現会長の奥田碩氏が、先日のNHKの「クローズアップ現代」に出演してインタビューに答えていた。その中で今問題になっている経済的格差の問題について質問され、単に経済的格差を問題とするのでなく、心の豊かさを求めることこそ大切であるというようなことを答えていた。上を見ればまだ上の人があり、下を見ればまだ下の人があるということだというのである。

 しかし年金生活を強いられている私など、経済的にあまり恵まれていない者からするなら、そのような発言は、経済的に豊かな人の口から聞くのには、非常に違和感を感じた。奥田会長は小泉政権の構造改革を全面的に支持してきたと思う。要するに能力のある者が上に上っていくことは、経済全体にとってよいことだというのである。
 たしかにそうかもしれない。しかしその中でこの社会と経済発展に置いていかれてしまう人たちがあることも事実である。経済的に豊かで、経済をリードしている人の口から、経済的に豊かであることも重要だが、心の豊かさを求めることが大切だというような説明を聞くことは、あまり気持ちのよいことではなかった。

2006.05.24

首相の靖国神社参拝の問題

 私が教会へ行くようになったのは1965年である。このとき私が行くようになった教会では、ひとつの募金活動が行なわれていた。それは韓国の提岩里教会の教会堂再建のための募金だった。私はこの募金活動に触れて初めて、かつての朝鮮半島における日本の支配の歴史を知った。

 日本帝国は朝鮮半島を支配して、朝鮮人を日本人化するために、皇民化教育、すなわち天皇の臣民とする教育を展開した。国語を奪って、日本語の教育を強制し、名前をも奪って日本的な名前に強制的に変更させた。このような政策に反抗する者に対しては、容赦なく激しい弾圧を行なった。
 その時代から朝鮮にはキリスト者が少なからず存在していた。特にこのキリスト者に対しては、日本から持ち込んだ神社参拝を強要し、天皇に向かっての礼拝を強要した。このような迫害に抵抗した人たちが、1919年3月1日に三・一独立運動を起こした。この運動の中心であった提岩里の村では、日本の憲兵隊が、村人のおもだった人々30人を、提岩里教会の会堂に集めて、その中に閉じ込め、石油をかけて教会ごと焼き殺した。この事件については岩波新書『宗教弾圧を語る』の中で、李仁夏氏の証言の中に言及されている。
 私が行った教会で行なわれていた募金活動は、同じキリスト者として、日本人が行なった虐殺事件を謝罪し、その謝罪のしるしとしての教会堂を建てるための募金だった。

 今、韓国から、あるいは中国から、小泉首相が靖国神社に参拝することに対して、非常に強いクレームが出されている。韓国人にとっては、激しい弾圧を伴って強制された神社参拝の傷が忘れられないのである。その歴史の事実は、韓国人にとっては決して消し去ることができない記録であると思う。それに対して日本の歴史教育では、朝鮮半島の支配と、それに伴って行なわれた激しい弾圧の事実は、ほとんど言及されないのではないか。私もキリスト者になって初めて、その歴史の事実を知った。そしてある人に招待されて韓国旅行をしたとき、自分から願って、韓国の独立記念館と提岩里教会を、自分の目で見てくることができた。
 日本人の歴史認識のいい加減さというものが、今の日韓関係のギクシャクした関係の根底にあることは、繰り返し言われていることである。首相が靖国神社を参拝するだけでなく、再び天皇が靖国神社を参拝することが待ち望まれているという日本の現実を見るとき、かつての歴史が繰り返されることが恐れられているのである。小泉首相は平和の祈念だとその理由を述べているが、外側から見れば、かつて猛威を振るった神社参拝強制と、なんら変わりはないと見えるのは当然ではないか。

2006.05.23

ダビンチ・コード映画化

 「ダビンチ・コード」という作品が映画化されて公開された。
 公開されるとすぐに、キリスト教会から猛烈な批判が起こっている。イエス・キリストに対するイメージを大きく損なうもので、見るに耐えないものであり、公開は絶対に許せないという激しい批判が加えられている。
 少し前にはイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画に対して、イスラム教世界から強烈な批判があった。すなわち「宗教的肖像権の侵害、あるいは冒涜」だというので、ヨーロッパのキリスト教世界に対しての激しい批判が展開された。
 今回のダビンチ・コード問題は、イスラム教は関係ないが、問題の中心は同じように見える。すなわち今回もまた「宗教的肖像権、あるいはイメージへの冒涜」だというのである。

 この二つの事件は、どちらも宗教そのものもまた、現代的イメージ中心のものに摩り替わってしまっていることを暗示している。宗教の中心は「信仰」という問題であり、あるいは宗教的な「真理」の問題である。それが現代の、すべてのものがイメージ化されるという世界の中で、宗教の中心そのものもイメージ化されるという現象が起こっている。すなわち信仰の対象であものが、イメージ化されて、一人歩きしてしまい、宗教的真理性を失いつつあるということである。すなわち扱っているものは単なるイメージでしかないのだから、それをどのように解釈し、どのように料理しようとも、作家あるいは製作者の側の自由であるというものである。

 そういう中で、日本人は確固とした宗教意識を持たない特異な民族なので、これらの報道においても、一種の野次馬的な扱いで報道されており、日本人の多くは、宗教なんて「なんでそんなに目くじら立てるの?」というような意識でしかない。日本では最近は、すべての人々が「改革だ! 改革だ!」と叫び続けているうちに、何を改革しようとしているのか、何のための改革なのかさえもわからなくなっている。すなわちそれらが単なるイメージ化されてしまって、そのイメージそのものが一人歩きしているからなのではないか。
 『世界』という雑誌(岩波書店)の6月号に東京大学大学院情報学環教授の石田英敬(いしだ・ひでたか)氏が、「テレビ国家--権力のメディア的変容について」という論文を書いている。テレビ・メディアというものはすべてのものをイメージ化して提供するものであり、現代は政治そのものも、そのメディアに乗って展開されていると述べられている。それゆえにそのメディアの受容者である一般聴取者、すなわち国民は、この現代的な仕掛けをいかに読み解くのかという、ハードな責任が課せられてしまっているのではないか。

 この世界は、確固とした宗教的真理が確立されていなければ、すべてはイメージ化されてしまい、混乱するものでしかなくなっていくのではないか。

2006.05.22

噴煙を上げる浅間山

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20日、21日と上京して、21日の夕方、東京発の長野新幹線で帰ってきた。
長野新幹線は、軽井沢の手前のトンネルを抜けると、右手に浅間山がおおきく迫ってくる。この日はまだ陽が残っている時刻だった。みると浅間山の山頂から東のほうに噴煙が流れている。それに見とれているうちに軽井沢の駅に入って、浅間は見えなくなった。
私はアナログ人間なので、駅の陰になってみえなくなってから始めて、「あ、そうか、携帯電話のカメラで撮影しておけばいいのだ」と気がついた。いまのデジタル人間は、浅間の姿が見えるとすぐに携帯で撮影していたことであろう。
遅かったけれども、駅を発車すればすぐに、もう一度浅間が見えるはずだと思い出して、ようやく携帯電話のカメラを構えて待っていて、撮影したのが上の写真。トンネルを出たところからすでにだいぶ西に進んでしまったので、噴煙はあまりよく撮れなかった。

2006.05.04

蛙の声は慰めになるのか

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私の住んでいるところでは、この連休になってようやく田んぼに水が張られ、田植えの準備が始まりました。
今日は暖かくなってストーブも必要なくなりました。

田んぼに水が張られると、すぐに、蛙の合唱が始まります。私が蛙の声がやかましいと言うと、家内は蛙の声がやかましいなんて、とんでもないことを言う人だと言います。蛙の声というのは、一定のリズムと音程で延々と繰り返すじゃないですか。そこには何の変化もないのです。何の変化もなくて一定の音が延々となり続けるというのは、まさに騒音以外のものではないですよね。モーツァルトだって、和音は三つくらいしか使っていなくても、見事な音楽を作り出していますよね。蛙の国でも、今年はモーツァルト生誕250年なのですから、少しは研究してみたらどうでしょうね。
都会人にとっては田舎は何かと住みにくいものですね。

桃の並木道

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 昨日は近くの余里という部落にある桃の並木を見に行った。ほぼ4キロにわたって桃が植えられており、今日あたりが満開だという話を聞いたので、家内と二人で出かけてみた。この近隣では有名なところで、山間の部落ではあるが、大勢の見物客が来るという。
 実はあいにく満開ではなくて、まだ五分咲きというところか。それでも多くの見物客が来ていて、にぎわっていた。この写真は、その並木の一本ではなくて、その並木通りの反対側の斜面にある一軒の農家の庭にあるもの。この家の桃はまさに満開で、見事であった。
 この家の奥さんは愛想のいい人で、芽を出したばかりの桃の若木を来客に振舞っていた。私の家内も数本を掘り出していただいてきた。家内は喜んでもらってきたが、さてこの木が大きくなって、花を咲かせるころまで本人は生きているだろうか。

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