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2006.07.24

まことの救い主は――イザヤ書を読む 1

 十日間の入院の間に、旧約聖書のイザヤ書を読みました。
 イザヤ書というのは旧約聖書の中の預言書のひとつです。旧約聖書は歴史を記述した「歴史書」と、詩篇など文学作品のようなスタイルを持つ「諸書」、預言者たちが記録した「預言書」とから成っています。
 預言者というのは聖書世界での独特の働き人です。その働きによって生活が支えられていたわけではないと思われるので、職業とは考えられません。彼らは神の民と呼ばれているイスラエルの民に、あるいはその政治的、霊的指導者たちに対して、神の御旨はこうですと語ったのです。したがって預言書という書物はいずれも「神はこう言われる」という語り口で記録されています。
 聖書が私たちに教えている神さまは、私たちに語りかける神さまなのです。その集大成が聖書ですね。聖書の民は、この神さまのことばに聴き従うという生き方をしてきました。聖書世界以後のクリスチャンたちも、同じように「聖書が神のことば」という信仰を持って、聖書のことばが自分に語りかけられている神のことばと信じて、生きる糧としてきたのです。

 ところでこの「イザヤ書」の中には「しもべの歌」と呼ばれる不思議なことを書いた部分があります。たとえば《 それゆえ、主みずから、あなたがたに一つのしるしを与えられる。見よ。処女がみごもっている。そして男の子を産み、その名を『インマヌエル』と名づける》(7:14)などです。ただしこのところは「しもべの歌」という分類には入らないのです。このところの前後関係を調べてみても、この男の子を産む「処女」というのが誰のことを言っているのか特定することができないのです。しかも預言者イザヤは、預言者として神さまが「こう語れ」と言われたことを語っているのですから、イザヤ自身にはなにかヒントがあったのだろうと思われます。
 さらに不思議なことは、「処女がみごもって男の子を産む」というこの予告が、その700年後、イエス・キリストの誕生以後(特にその復活以後)に、キリストを神の御子と信じるようになったキリスト者たちによって、上のイザヤ書のことばが、イエス・キリストが処女マリヤから生まれるという預言であると解釈されるようになったのです。新約聖書の最初におかれている「マタイの福音書」の冒頭でこのことが記されています。

 イザヤ書の中の「しもべの歌」と呼ばれているところは、これと同じように、イエス・キリストの生涯に関する預言になっているのです。たとえば《見よ。わたしのしもべは栄える。彼は高められ、上げられ、非常に高くなる。多くの者があなたを見て驚いたように、──その顔だちは、そこなわれて人のようではなく、その姿も人の子らとは違っていた──》(52:13-14)などもそのひとつです。
 「わたしのしもべ」というのは「神さまのしもべ」という意味です。多くの議論がありますが、それらすべては省略して結論だけ言いますと、この「しもべ」はイエス・キリストを指すと私たちは考えるのです。イエス・キリストは神のしもべ、すなわち全世界の救い主として「非常に高く上げられる」というのです。神の救い主というのは、普通に期待されているのは、大きな力と権威を持っており、見たところも見栄えがあり、崇高ささえも期待されているのではないでしょうか。ところが実際は、メル・ギブソンが「パッション」という映画で徹底して描いたように、神さまから送られたまことの救い主イエス・キリストは、「その、顔だちは、そこなわれて人のようでは」なかったのです。

 現代は世界中で、力や権威が求められ、華やかなスターが求められ、トップ・ランナーが、華やかな脚光を浴びて人々の心を魅了しているのです。そのような権力やきらびやかさなどは、一見、救い主のようには見えるが本物ではないと聖書は言っているようです。貧困、飢餓、エイズなどで苦しんでいる人々に対しては、「顔だちは、そこなわれて人のようではない」という働きが必要なのではないかと思うのです。

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