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2006.09.19

大江健三郎を読む

 7月の10日間の入院のときに、大江健三郎の新作『さようなら、私の本よ!』というのを持っていって、ちょうど入院期間中に読み終わった。これはおもしろかった。この作品は『取替え子』『憂い顔の童子』と続く三部作の最後の作品と言われている。必ずしも内容的につながっているわけではないが……。
 『さようなら、私の本よ!』は前作『憂い顔の童子』の話が終わったところからスタートする。『憂い顔の童子』は例によっていつもの四国の山の中での物語の展開だが、この『さようなら、私の本よ!』は軽井沢の別荘という自然環境の中で物語が展開する。前作ではアメリカから来た研究者によって大江作品の分析がなされるが、今回は幼馴染の椿繁という人物によって、大江作品だけでなく、作家自身の人生観まで、批判や反省がなされていくという内容。
 大江健三郎の作品の魅力の一つは、その人物の精密な描き方にあると思う。物語そのものは虚構であるが、その虚構の物語世界の中に、登場人物が実にリアリティをもって描かれるのである。そのために物語のほうも現実性があるのではないかと受け取られているらしい。この作品でも椿繁と作家との間で、大江作品についての批判的検討がなされたりするが、その内容は、どの作品を読んでも同じであるが、内容的にはかなり複雑で私にはうまく説明ができない。大江作品を読む魅力は、この複雑さにもあるのではないかと思う。物語そのものは椿繁によって過激な計画が進められるが、それが思わぬ結末を迎えるというもの。

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