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2006.12.26

『ブランドの条件』について

『ブランドの条件』
山田登世子著 岩波新書

 この著者の山田登世子氏を知ったのは『現代思想』という雑誌である。10年以上も前のことであるが(今は手元に資料を残していないので不明)、『現代思想』という雑誌に連載されていた山田登世子氏の「メディア都市――19世紀の流行通信」という論文を読んで興味を持った。私が読んだときはすでに連載の三回目になっていた。しかしその論文の非常なおもしろさの故に、図書館に行ってこの雑誌のバックナンバーを借り出して、1、2回目をコピーして読んだ。内容は「メディア都市」すなわちパリの19世紀時代の流行について書いたものである。いやむしろ「パリの19世紀時代の流行について書いたもの」について書いたものであるのかもしれない。
 この『ブランドの条件』という本は、新書版のためか、内容的は軽いもので、論文「メディア都市」のような重厚さ(「重厚」という表現が適当かどうかはなんとも言えないが)には及ばないものだった。しかしこの著者が持っている独特の表現技術は、やはり期待に違わず生き生きとしている。
 この著者の第一の魅力は、その知識の豊かさである。もちろん大学教授であるのだから、このくらいの知識を持っているのは当然であるが、その豊かな知識の中から紡ぎ出す概念というか、表現手法というか、ことばの数々というか、そういったものは、実に見事に光り輝いているのである。それがこの人の天性なのであろうと思う。そしてこの才能が、19世紀という「メディア都市」パリに関連するさまざまなメディアに出会ったときに、光り輝いてきたのではないか。このような論文を読むことは、私にはほんとうに幸せだと感じる。この著者の手にかかると、単なる一枚の文献資料にしか過ぎないものが、たちまち生き生きとして躍動し、光り輝いてくるから不思議である。私はその無機質な資料と、光り輝いた表現との間にあるこの人独特の感性と、その表現の見事さに魅力を感じるのである。
 『ブランドの条件』という本によって、私たちはなるほどブランドというものはこのようなものなのかと納得させられる。ではブランドとは何なのかといえば、それは単なる「ラグジュアリー」すなわち贅沢品なのであろう。それを手に入れるところにその人の情熱があるのであろうし、それを所有することに満足感があるのであろう。そういった価値観はきわめて個人的なものであり、私にはやはり共有できないものであるらしい。したがってやはりなぜこのブランド品に多額のお金を使うのかは、納得がいったわけではない。ではあるが、私自身もなにかの個人的な価値観に多額のお金を使っているものがあるのではないかと思わせられる。コンピュータで音楽をやるためにそろえた機材は、やはり馬鹿にならない金額であろうと思う。これもまた「ラグジュアリー」なのである。
 しかし「ブランドの条件」とか「ラグジュアリー」ということを考えるとき、人間というものはまことに不思議な生き物ではあると考えさせられる。またこの贅沢志向というものは人間独特のものであって、他の生き物にはないものではないかと思う。人間を人間として、他の生き物から区別しているものであるとも言えるかもしれない。しかし他の生き物の姿態の美しさは何だろう。これもまた一種の贅沢品なのではないか。
 著者の説によれば「ラグジュアリー」とはもともとは宗教的な意味での神へのささげものであったということである。これにはなるほどと納得するものがある。確かに聖書でも、神へのささげものは最も良いものの中から選ばなければならないと述べている。この宗教性が世俗化することによって、まことの神が失われると同時に、ささげものそのものも、行き場を失って、人間自身の満足感を満たすものになったのであろう。
 というわけで、山田登世子氏の文章を読むこともまた「ラグジュアリー」なのではないのかと、考えさせられている。

2006.12.19

雪と車

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昨日は早朝に雪が降った。5センチほど積もった。
お昼頃、車の上に積もった雪を払って、松本の信州大学病院の定期検診に出かける。
これまでは冬の季節には、数日の短期滞在という経験しかなかったが、今年からはここに住むということで、経験者から冬期の車の運転の注意などを聞いて備えている。八王子に住んでいた頃は、シャーベット状になったゆきを蹴散らして走っていたものだが、凍った坂道を下るのは、死ぬ思いらしい。怖い、怖い。

2006.12.16

松坂投手の60億円の意味

 松坂大輔投手は大リーグのレッドソックスと、6年間60億円を超える金額でで契約を完了した。6年間だから1年分は10億円という計算になるのか。一年間20回登板するとして、実際はもっと登板するのかもしれないが、1試合の登板で100球投げるとすると、一シーズンで2000球投げることになる。この球数で10億円を割ると、1球あたり50万円という数字になる。レッドソックス側は、はるかにこれ以上の経済効果を期待したのだろうし、松坂自身もそれだけの自信があっての取引なのであろう。でも世界中には、1億円くらいはこっちに回してもらいたいという人たちが、数え切れないほどいるのであろう。

 西武チームは、60億円という入札金額を手にすることになった。西武はここまで、おそらく多額のお金をつぎ込んで松坂投手を育ててきたのであろう。そのことを考えると、この金額は大きいのか小さいのかよくわからない。反対に松坂投手にはもともとそのような天才的才能があって、彼自身がその才能に磨きをかけてきたのだと考えると、西武はまるでただで60億円を手にしたということになる。彼に投資した金額は、西武は当然取り返していたはずだから。

 ところで「松」は「まつ」でも自動車の「マツダ」は、米国へ輸出した新車4700台を、運搬船事故で、廃棄処分にするそうだ。運搬船が事故を起こして、船が60度傾いたまま一ヶ月ほどさまよったので、新車の安全性が保証できないというのだそうだ。損害額は100億円に達するとのこと。まあ積み荷保険がかかっていたことだと思うので、結局は世界中に飛び回っているお金が、ペイすることになるのだろう。しかしそのお金のその先をたぐっていくと、毎日、飢えに苦しみ、戦乱の中で苦しむ人たちに出会うことになるのではないか。

 4700台で100億円というと、一台200万円ほどになるけど……? 松坂投手は4球投げれば、この金額に見合う責任は果たすことになるという計算。この世の仕組みというものは、どこまで行っても不可解なものである。

P1000028
一ヶ月以上のお休みになってしまった。
その間に季節はすっかり冬。しかしここ長野県の中央は、昨日は暖かい朝だった。
この写真は昨日の朝、自宅の玄関から眺めたもの。見事な霧が立ち上っていた。

携帯電話を替えた。今まで使っていたソ○○バンクのは、ここでは全然使えなかった。この地域では携帯は使えないのかと、なかばあきらめていた。しかし息子が来てdocomoを使っているのを見て、へぇ~、やっぱり使えるんだというわけで、同じものに取り替えた。すると見事に受信状態を示すバーが、三本立っているではありませんか。

だが、この機種は写真がうまく取れないので困っている。上の写真もすっかりピンぼけ。
よく使い方を調べてみなくっちゃ。

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