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2007.05.15

『アラビアのローレンス』平凡社ライブラリー

 平凡社ライブラリーのロバート・グレーヴズ著『アラビアのローレンス』を読んだ。これはかつて平凡社の東洋文庫にはいっていたものが、2000年3月に「平凡社ライブリー」版として新しく文庫版になって出されたもの。数年前に買っておいたもの。
 映画の『アラビアのローレンス』がとてもすばらしかったので、映画の原作となっていたこの東洋文庫を読んでみたいと思っていた。それが文庫版として出されたので買ったものだ。映画もすばらしかったが、このグレーヴズの本もすばらしかった。映画も最後のダマスコ占領と入場の大混乱が、実に見応えがあったが、この本も同じく圧倒的な迫力である。原作がこのように魅力のあるものだったので、映画もすばらしいできばえになったのであろう。

 1900年代の初めの第一次世界大戦の時の状況は、こんなだったのかという感じ。すなわち今のように通信網は進んでいないし、全体の状況を把握するためにも、いまでは考えられないほど必要な情報はすくなかった。それにもかかわらず、砂漠の中で戦いが展開され、多くの兵士が殺戮されることを考えると、戦争の愚かさ、覇権争いの愚かさを痛切に感じさせられる。では現代の戦争がもう少しましになったかというと、それが大規模になったくらいで、愚かさの本質はいっこうに変わりがない。
 今イラクの問題で、アラブの部族主義と、西欧の近代的自由主義とが対立している。この問題の解決にはアラブの部族主義を理解し、それを建て支援するということがいいのではないかと、この本を読みながら考えさせられた。

 読み応えのある内容であったが、翻訳の日本語が難しかった。原文が難しいのかどうかはわからないが、しばしば立ち止まって、数行戻って読み返し、それでも意味不明のところがあった。翻訳の文体が私の思考方法とは異なっているので、ついて行くのに苦労させられたのだが……。

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