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2007.12.20

『駱駝祥子』新潮文庫

 『駱駝祥子』(ろーとしゃんず)は中国の作家・老舎の作品。新潮文庫で読んだ。
 この本は昭和27(1952)年9月の発行である。どのようないきさつでこの作品を読んだのかは忘れてしまった。しかしその印象は強烈であった。その故に私は、文庫本のたぐいはまとまると古本屋に売ってしまうのだが、この本だけは処分することなく、いつも私の書棚に残っていた。もう一度読みたいと思ってきた。
 これを最初に読んだのは発行年から言って、私がすでに30歳を少し超した頃に読んだものと思われる。定価130円と書いてある。すでに全体に黄ばんでいて、いまにもぼろぼろになりそう。文体も古風であり、使われている漢字も旧字体であり、拗音、吃音なども小さい活字ではなくふつうに印刷されている。今回再読してその物語のおもしろさには十分に堪能した。
 物語は祥子という田舎出の青年が、北京に出てきて車引き、すなわち人力車夫となって、いろいろな経験をするというもの。この作品は1937年に発表されたというので、時代は日本の昭和時代の初期である。
 祥子は恵まれた肉体ときまじめな性格によって、大きな希望に燃えて、誰にも負けない車夫として、その働きを始める。しかし次々と襲ってくる不運のために、ついにはすべてに失望して、人生の落伍者になってしまうという物語。次から次へと襲ってくる不運に、読者は圧倒されてしまいそうになる。でもそれが何か言うに言われぬ滑稽さを伴って描かれている。でもとても笑っているような話しではない。それ故に物語に引き込まれていく。老舎の作品の特徴なのだと思う。
 私は寝ながら読書が出来る「書見機」というものを使って、寝る前の15分か20分くらいの短い時間を読書に当てている。この物語のおもしろさは、その続きを読むのが楽しみで、待ち遠しいような感じで昼間の時間を過ごしてしまう。そしてまた続きを期待しながら読んでいた。カフカやメルビルの作品などを読んで、次にこれと同等の読み応えのあるものを読みたいと思っていたが、この作品はカフカやメルビルの作品に劣らず読み応えのあるものであった。
 良い作品を読むということは、何にもまして至福の時である。

2007.12.13

カフカの『変身』を読む

 カフカの『変身』を読んだのは三十歳くらいのことだったと思う。その後『審判』や『城』などとともに、私の書棚に入っていたが、いつのまにか紛失してしまっていた。今回図書館から借りて来て読んだ。

 カフカの作品というものは実に不思議なものである。ありそうもないことを連綿と書きつづることによって、それがあたかも存在しているかのように見えてくる。いやむしろその方が現実なのだと思えるようになる。
 人間の歴史の流れということを考えると、このような才能がどうしてこの時間の流れの中に存在するようになったのか、不思議である。カフカは1883年から41年間の生涯を生き、結核で1924年に亡くなった。彼が作品を発表するようになったのは1913年くらいからである。すなわち彼が三十歳の頃からである。ということは作品を書くようになって10年か15年くらいという事になるのではないか。この短い期間に、どうしてこのような才能が記録されたのだろうか。
 人間の生涯は70年程度である。しかも成人するまでに20年くらいを要するので、実質は50年くらい、これも実際に才能が開花して実を結び、芸術作品として歴史の中に残っていくのは、20年か30年くらいの間に作り出されたものでしかない。そしてその芸術家はこの世を去っていき、再びこの世に戻ってくることはない。しかし同じようにして別の才能がこの世に誕生し、作品を残し、その人もまたこの世を去っていく。
 カフカという作家は、自分が生きる社会を理解するのに、ふつうの人が持っている感覚とはかなり違ったものを持っていたように思う。しかしこれは一つの表現なのであって、カフカ自身には、自分が生きている社会がそのように見えていたものだと思われる。写真というものは真実を写すものではあるが、現実の風景を切り取ってくるために、作品となったものには現実とは違った意味が付加されることになる。そこに写真としての「作品」が誕生する。文章も同じである。
 グレゴール・ザムザという青年がある朝目覚めると一匹の毒虫に変身してしまっているという、現実にはあり得ない出来事が語られていく。しかしこの毒虫を巡って家族も、そのほかの人々も、大変な騒ぎとなるのだが、これはまったくふつうにあり得るこの世の人間生活の現実であると言える。そこだけを切り取り、捨象し、拡大して見せるのである。
 カフカは家族の一員が突然毒虫に変身したら何が起こるかという事を、実験的に書いたのではなく、彼の感覚では自分の回りの現実はそのように見えていたのではないか。岩波文庫の『変身』にバンドルされている『断食芸人』という作品もそうである。始めのうちは人々に興味をもって見物されているが、やがて人々はこの興業に関心がなくなり、ついにはサーカスに売られてしまうが、そこでもまた観客の注目を受けることなく死んでいってしまう。一人の変わったキャラクターの人物の運命を描いているというよりも、世の中というものはこのようではないかと提示して見せていると言った方がいい。
 だから読むものに共感を与え、それ故に圧倒的な迫力を与えるのではないか。それゆえにまたこれらの作品には読み応えがあるのではないか。

2007.12.11

年金記録の4割特定困難、厚労相の辞任求める声も(読売新聞) - Yahoo!ニュース

リンク: 年金記録の4割特定困難、厚労相の辞任求める声も(読売新聞) - Yahoo!ニュース.

舛添さんも、ちとはやまったかなという感じでしたよね。
野党がまたまたハッスルする材料が出来ました。
でも野党もあんまり人の批判ばかりしていると、政権を取るなんていうところまで行けなくなるのではないでしょうか。

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