« July 2008 | Main | September 2008 »

2008.08.11

『ハーディ短編集』(新潮文庫)

 『ハーディ短編集』(新潮文庫)を読んだ。
 この文庫本には八編の短編が収録されている。トーマス・ハーディの作品を読むのは初めてである。ハーディのものでは『テス』という長編が有名である。

 ここに収録されている作品どれもが、最後には思いもかけない展開になって終わるようになっている。その中でも『わが子ゆえに』という作品は印象的であった。牧師の家に小間使いとして働いていた婦人が、牧師の妻の死後、牧師に請われてその後妻となる。ひとりの息子が与えられるが、彼女は生来の田舎者であり、その言葉づかいも都会風ではない。そのために思春期にさしかかった息子には嫌われている。
 一方彼女はまだ牧師家の小間使いとして働いていた頃、近所の庭師をしている男性から好意を持たれていた。やがて彼女の夫の牧師は病を得て亡くなってしまう。彼女は夫が残してくれた資産の故に、平穏に暮らしていた。そこに偶然、庭師の男が現れる。彼女はその庭師の男と一緒になりたいと願うようになった。ところが成人して牧師になるための一流大学に進学していた息子は、この田舎者に母親が嫁ぐなどということは、とてもがまんのならないことだった。母子は何度も話し合ったが、息子は決して許そうとしなかった。

 母親はとうとう亡くなった。その葬式の葬列が通るとき、今では成功して立派な果物屋を営むまでになっていた元庭師は、自分の家の前を通る葬列を見送るために正装して店の前に立っていた。「だが、葬儀馬車の中からは、胸あきの少ないチョッキをつけ剃りあとの青い若い一人の牧師が、そこにたたずんでいる店の主人をけわしい目つきでハッタとにらみつけるのであった」。
 人間として真実に生きることにとって、社会的なステータス・シンボルなどは何ほどの値打ちがあるのだろうかと思った。これを持つものが、持たぬものを抑圧するという構造が、いつの時代でも人間社会を覆っている不気味な影なのである。しかもハーディの時代(1800年代の終わり)には、牧師という地位さえも、そういうステータ・スシンボルとなるものであったのだろう。

 この短編のどれにも、イギリスの風景が描かれていて印象的である。それはイギリスの独特の風景なのだろう。エミリー・ブロンテの名作『嵐が丘』にも描かれている。それは背の低い草が群生する草原、あるいは荒れ地――「ヒース」と呼ばれる――である。
 今回この短編集を読みながらその風景の描写に、リチャード・アダムスの『ウォータシップダウンのうさぎたち』という作品の風景を思い出していた。これはうさぎたちの物語であるので、その風景がとても印象的であった。ハーディの短編集を読みながら、『ウォーターシップダウンのうさぎたち』の風景を思い出すほどに、『……うさぎたち』の物語は印象的だった。イギリスの「ヒース」というものは、独特の雰囲気を持っているものなのだろう。

2008.08.09

驚くばかりのタンパク質のふるまい

 『タンパク質の一生』(岩波新書・永田和宏著)を読んだ。
 とてもおもしろかった。自分のからだの10パーセントほどを占めるという物質について、実はなにも知らなかったということを自覚させられた。人間のからだには約60兆個の細胞があって、その一個一個の細胞の中に約80億個ものタンパク質があるのだという。この本はそのタンパク質の誕生から死までを、しろうとにもわかりやすく解説している。

 読み進むうちに、そこで説明されている出来事が、この宇宙の中で行なわれているものだと錯覚してしまう。そして何度もそれが実は個々の細胞の中で行なわれていることの説明なのだと確認しなければならなかった。それほどに一個の細胞の中で営まれている世界は膨大なものだと感心させられた。
 細胞のことや、その中に秘められているDNAなどのことに興味深く教えられたのは、1980年代の初めのことであった。そういったことは今では高校生の時代に教えられるものらしいが、私の頃にはそこまでの学びはなかった。この本を読みながら、一個のタンパク質の微細な動きまでもとらえることが出来るようになった研究の成果に、ただただあきれるばかりであった。そんなことを言うと、自分の無知をさらけ出すようで恥ずかしくなるが、実際に、自分のからだの中の奥深いところでは、こんなにすごい営みがなされているのかと、驚くばかりであった。

 このような微細な世界で営まれている動きを説明されてみると、ではいったい、私たちのいのちそのものはどうなっているのだろうかと考えさせられる。タンパク質というものはただじっとしているのではなくて、毎秒毎秒、分解と生成をくり返しているのだそうだ。それはなんと一秒間に数万回にも及ぶというのである。この熱烈な生命活動のエネルギーというものは、いったいどこから出てくるのだろうか。

露攻撃でグルシア1400人死亡 - 注目ニュース:@nifty

この見出しの意味はなんだろう。グルジアとロシアの戦争を意味しているのか。

ロシアの メドベージェフ大統領は親分のいない間に点数稼ぎをしているのか。

露攻撃でグルシア1400人死亡

露攻撃でグルシア1400人死亡 - 注目ニュース:@nifty

« July 2008 | Main | September 2008 »

August 2015
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ