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2008.10.30

スタインベックの『赤い小馬』

 スタインベックの『赤い小馬』という文庫本を読んだ(旺文社文庫・龍口直太朗訳)。ある施設の貸し出し文庫から借りてきたもの。「赤い小馬」という中編ものの他に12編の短編が収録されている。原書では『ザ・ロング・バレー』というタイトルのものらしい。

 「赤い小馬」というのは、小馬の死や誕生などを通して、少年が成長していく様子を描いたもの。スタインベックの作品はどれも同じような主題で、人間的な教訓めいたものがテーマとなっている。
 そのほかの短編はどれもおもしろかったが、特に「蛇」というのがおもしろかった。海洋生物の研究をしている若い博士が、研究所にしている海岸の小屋に、ある日一人の女がやってくる。彼女は博士から一匹のガラガラ蛇を買う。それは自分がその蛇を飼育するためではなく、蛇がはつかねずみを食べる瞬間を見たいというのだった。博士は戸惑いながらもはつかねずみを蛇の飼育箱に放り込む。そして蛇がそのねずみを食べるのを見届けると、女は、満腹して眠ってしまった蛇を見て、またねずみを食べさせに来ると言って博士の研究所を出て行った。
 ところがその後この女は二度と現れない。博士は町に出たときにその女に出会うことを期待しながら捜すが、もちろん見つかりはしない。不思議な物語である。しかしこのガラガラ蛇の様子や、はつかねずみを食べる瞬間などが、詳細に描かれており、不思議な雰囲気が作り出されている。

 この女は、そして蛇がねずみを食べるという瞬間は、いったい何を意味しているのだろうか。いろいろな意味を考えることが出来ると思う。
 この作品は実に良くまとまっていて、読みながら小説とはこのように書くのだという「小説作法の教科書」のようだと思っていた。

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