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2011.02.12

『真夜中に海がやってきた』

投稿日: 2010年11月1日 作成者: haikairoujin

スティーヴ・エリクソンの『真夜中に海がやってきた』を読了した。
今月の10日から読み始めたので、ほぼ二十日間で読み終わったことになる。一日にほぼ12頁というペース。読了後、最初の感想として述べておきたい。

一言で言って、「やはり現代小説はすごい!」ということではないか。ドストエフスキーや、メルヴイル、スタインベックなどを読み続けていて、できれば現代の作品を読みたいと思っていた。それで出版社のホームページなどを調べているうちに、筑摩書房のホームページでこの作品をみつけた。
紹介文などをよく読み、値段なども勘案して、とりあえずはこれを読んでみようと思って、アマゾンから取り寄せた。作品の題材となっているのは、まさに現代社会の混沌とした現実だろう。実際に作品の中でも「混沌」ということぱは、たびたび出てくる。作者はそれを意識し、何とかその混沌を描き出そうとしたのであろう。
最初にキルケゴールのことばが掲げられていて「ウン!」と思ったが、それが意味していることが、作品の中でどういう関連を持っているのかはよくわからなかった。キルケゴールの短いことばは、「おそろしいもの……に、勇気を奮い起こして近づくのは、信仰にもとづいた勇気ではない」というような意味ではないかと思う。
キルケゴールが言おうとしていたことは、まことの信仰――キルケゴールが言う「信仰」というものは、こちらがわから、勇気を奮い起こして近づくというものではなくて、すでにその恐ろしいものの向こう側に連れ去られているという状態なのだということではないか。そのように規定すると、このエリクソンの語っている人物たちは、この世界の混沌の前にうろうろしているということにすぎないのではなのか。

戦火の奇跡-ユダヤを救った男

“Show Time”で「戦火の奇跡-ユダヤを救った男」という映画を見た。

2002年/イタリア/100分/日本語字幕版
監督:アルベルト・ネグリン 脚本:ステファノ・ルッリ、サンドロ・ぺトラリア
出演:ルカ・ジンガレッティ、マチルダ・メイ、ジュローム・アンガー、アマンダ・サンドレッリ

第二次世界大戦中、ドイツ・ナチスの支配下にあったハンガリーで、偽のスペイン領事になりすまし、五千人以上ものユダヤ人の命を救ったイタリア人ジョルジョ・ペルラスカ。知られざるイタリア版“シンドラーのリスト”を映像化し、本国イタリアで記録的な高視聴率をたたき出した傑作テレビ映画。ジョルジョ氏本人の貴重なインタビュー、エンニオ・モリコーネの重厚な音楽も必聴。

スペイン内戦時、国民戦線軍に参加したイタリア人のジョルジョ・ペルラスカ。今では退役し、牧畜の買い付けに従事する彼は、商用でナチス支配下のハンガリーを訪れ、そこでユダヤ人の苦難を目の当たりにする。病院にかくまわれた老人や子供たちまでも、恐怖に陥れる冷血なナチスのやり方に憤慨したジョルジョは、ユダヤ人収容政策に対抗するべく、ある大胆な賭けに出る。

以上 貼り付け元  <http://www.showtime.jp/app/detail/contents/j00cnm010000192222320>

これは実話に基づいている。最後にジョルジョ・ペルラスカ本人が短いインタビューを披露している。このようなことは現代の歴史の中でも起こりうることだと若い者たちに警告している。

ユダヤ人を扱った映画は何本も見た。このように多くの映画が残されていくというのは、この歴史の事実がいかに大きなものであったかを示すものである。日本ではどうだったかというと、二発の原爆投下という悲劇があった。それと同じく悲惨で、しかもほとんど知られていないのは、南太平洋上のたくさんの島々で繰り返された集団自殺とか、極度の飢えの中でのさまざまな悲惨な出来事ではなかろうか。この映画の中ではユダヤ人たちは過酷な状況のなかで必死に生きようと努力したのだ。

この映画はイタリアといういわばキリスト教の背景の国で作られたものだ。いくつかの印象的な画面があった。恋人が暴漢に襲われるのを救ったが、その暴漢を刺し殺してしまった青年が、ユダヤ人として自分の罪におののく場面があった。ユダヤ人大量虐殺という物語の中で、ひとりの敵を殺害してしまった青年が自分の罪におののくという挿話は、このホロコーストという事件に対する強烈な批判ではないか。

ひとりのユダヤ人が家族を逃がして後、自分がひとりで町を横切ろうとした時ドイツ兵に発見され銃を突きつけられる。「自分はユダヤ人ではない」と弁明する。するとその若いドイツ兵は、「それじゃ”主の祈り”を唱えてみろ」と強要する。その人は若いドイツ兵に銃を突きつけられたまましばらくのためらいの後に「お若いの、こんなところで祈れるか」という。その途端に激しい銃声が響く。

最後に、ベルラスカの働きをいろいろな場面で助けてきたスペインの大使館員。この人は自分がユダヤ人であることをひた隠しにしてきた。しかし最後にベルラスカに告白する。「ユダヤ人が何百万と殺されていった。しかし自分は生き残ってしまった。それは自分の罪だ。自分が生きてここにいることが自分の罪だ」と告白する。その直後、踏みこんできたドイツ兵に追われ、屋根から転落して死ぬ。

全体は非常によくできていたと思う。しかし見るのは非常につらいものだった。

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