« 絵画作品展示 | Main | 玄海原発再開説明会 »

2011.06.25

バルガス=リョサの『緑の家』

昨日でバルガス=リョサの『緑の家』を読み終わった。524日に東京に行ったときに新宿の紀伊国屋書店で買ったので、ほぼ一カ月でこの大作を読み終わったことになる。早いのか遅いのかはよく分からない。岩波文庫の上下二巻になっているもの。

文学作品というものはヨーロッパではじまってイギリス、アメリカと伝わってきたもののような気がする。しかし中南米にも人間は住んでおり、人間が住んでいる限りはそこに物語もあるはず。この本の訳者である木村榮一氏は、中南米文学を紹介する岩波新書の一冊も書いている。作者のバルガス=リョサはこの作品によってノーベル文学賞を受けたということだ。

この『緑の家』は確かに読みごたえがあった。物語は非常に複雑に込み入っているので、なかなか全貌がつかめないで苦労した。しかし短編集ではないので、いつかは物語がつながるはずという興味でせっせと読んでいった。

舞台は南米ペルーの北部、沿岸平野にあるピウラという町と、アマゾン川流域のジャングルまでという、およそ800キロにも及ぶ。そしてジャングルの中の風景というものが丁寧に描かれているので、いままで読んできたヨーロッパ文学やアメリカ文学とは、一味もふた味も違う雰囲気を持っていた。

全体がⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳとエピローグというものに分けられており、その中がまた3から4章に分けられて、それぞれの物語が展開していく。はじめは章ごとに別の物語が展開していくので、話の筋を把握するのに苦労する。そのうちに別の物語だったものが、互いに関連を持ち始めて、やがてはそれらが一つの大きな終結へと向かっていく。全体としては密林の中にも人々の生活が厳然として存在しており、そこに生きる人々には他から犯されてはならないもの、独自性というのか、自由とか権利とかいうものがあるのだということがたんたんと描かれていく。そういう意味では、人間というものの個々の存在というものは、独特なものであり、それは一体何だろうかと考えさせられるものであった。

いい物語だった。

« 絵画作品展示 | Main | 玄海原発再開説明会 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18113/52039204

Listed below are links to weblogs that reference バルガス=リョサの『緑の家』:

« 絵画作品展示 | Main | 玄海原発再開説明会 »

August 2015
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ