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2012.04.05

『マタイ受難曲』を聴く

今週はイエスキリストの受難週なので、今日はバッハの『マタイ受難曲』を聴いた。この三時間もかかる大曲を一気に聴いた。カール・リヒター指揮、ミュンヘン・バッハ合唱団・管弦楽団演奏。私はバッハを聴くようになってしばらくしてから、このような大曲があるということを知って、このリヒターのCDを買って聴き始めた。その当時こんな大曲を聴くのは初めてだった。バッハの曲でもこんなにたくさんの「レチタティーヴォ」が含まれているのも初めてだった。

ミニチュア・スコアと呼ばれる楽譜も買って、それを見ながら聴く。そしてCDに付属している説明の小冊子を同時に見ながら(私は歌詞のドイツ語が読めないので)、さらにその小冊子は文語訳なので、新改訳聖書も脇に置いて、頭をフル回転させながらの、至福の三時間を過ごす。イエスキリストの受難週と呼ばれるマタイの福音書の26-27章には、こんなにすごいドラマが書かれているのだということは、この曲を熱心に聴くようになって初め知った。

すばらしい序曲に続いて、いよいよ聖書が読まれていく。そして過ぎ越しの食事からイスカリオテ・ユダの裏切り、ゲツセマネの園での弟子たちの居眠りと、非常に緊迫したドラマが展開されていく、同時に音楽もレチタティーヴォが続き、そこにコラール、ここ15-16曲で歌われるコラールは讃美歌集136番「血潮したたる……」だか、このコラールが26章33-35節のみことばをはさんで二度繰り返される。そしてそれに続いて合唱を伴ったテノールのレチタティーヴォが続くが、ここではテノールが、ゲツセマネの園でのイエスの不安とおののきを歌っていく。ここでの通奏低音は16分音符を連続して刻んでいく。そして合唱が「イエスさまの不安とおののきは私たちの罪のためです」と応答していく。

この逮捕を目前にした緊張した雰囲気に続いて、オーボエソロと合唱を伴ったテノールのアリアが続く。このアリアは「イエスのもとで目覚めていよう」と歌うが、そこまでの緊張感から見事に解放してくれるような名曲である。こんなに美しいオーボエのソロが、今でも世界中に数限りなく存在する楽曲の中にほかにはあり得ないと言えるほどの名曲だと言ってもいい。N響の主席オーボエ奏者の茂木大輔さんが、ドイツに留学中にこの曲に出会った感動をあるところに書いているが、彼のこの曲との出会いの感動が見事に伝わってくる文章だった。

曲中にはオーボエのソロにテノールのアリアがかぶってくるところが何回か出てくる。その両者の絶妙なかけ合いというか、音の合わせ方というか、それは演奏する人たちにとっては非常に難しいところなのだろうが、聴く者にとっては、音楽の素晴らしさを堪能させてくれるところである。そして最後にオーボエのソロがこの曲の主題を11小節演奏して締めくくられる。この演奏を聴くと私は感動してしまって、「もうここまででいいや!」と言って聴き終えることがしばしばであった。

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