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2013.08.08

抽象と具象の境い目

今日は午後に佐久市立近代美術館の「新・収蔵品展」を見に行ってきた。どれもこれもが素晴らしい作品だった。特に谷保玲奈さんの「境界の腫れ物に触れる」という日本画の大作には、まさに圧倒されるようだった。2.7メートルの5.8メートルという超大作。描かれているのは、具体的には金魚や蛸やきのこの細密な描写。それらの襞が克明にリアルに描かれ、画面いっぱいに限りなく繰り返されている。絵画の伝統には、王侯貴族の着ている贅沢な服装の襞を、綿密に描き出すというものがある。この作品はその伝統の上にのっかっていると思われる。タイトルにあるように、具象と抽象の境界線を意識して描いているのではないかと思われる。美術界ではこの具象と抽象の境目がいろいろと論争されているし、画家たちもこの境界線を行ったり来たりしている。具象に行くのか、抽象に行くのかという問題が、それそれの作家の中では悩ましい問題なのだ。まさにそこには「境界の腫れ物」がある。そこに触れることは「腫れ物に触れる」ことなのだ。へたに触れば一挙に全てが崩壊するというのが、今の美術の世界なのだ。しかしこの画家は、大胆にもそこに直接的に触れてみごとな作品を描き出している。素晴らしかった。

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