2012.04.10

『サラマンダーは炎のなかに』

『サラマンダーは炎のなかに』上下を読了した。ジョン・ル・カレ作、加賀山卓郎訳、光文社文庫、上下巻で732ページもある。スパイ小説という分野に属するものなのだろう。9.11のテロ事件とそれに続くイラク戦争という歴史を背景として物語が描かれていく。「サラマンダー」というのは「火の精」という意味らしい。この本の題は「火の精」は「炎のなかに」あるという意味なのだろう。原タイトルは"Absolute Friends"というのだから、「特別な友人」というような意味なのだろう。二人の国際的なスパイの活躍が語られていく。途中で何か齟齬があったのだろう、突然に国際的なテロの爆裂に巻き込まれてしまうという話。二人のスパイの友人が、国際的な事件・歴史的な出来事の「炎」の中で暗躍するという話なので、日本語タイトルはこうなったのだろう。なかなかしゃれたタイトルづけだと思う。著者は9.11からイラク戦争という歴史の展開の中で形成される米英帝国主義の動きにはかなり批判的らしい。

こういうジャンルの小説は初めて読むので、はじめは物語のどこに焦点を合わせて読んでいけばいいのかがよくわからなかった。よく理解できないままに強引に読み進めて、読了してみると「いい話だったなぁという印象」。お勧めの本だ。

2011.09.06

『チボの狂宴』

『チボの狂宴』という本を読んだ。バルガス=リョサという作家の長編小説。作品社というところから発行されたもの。四六版で518ページもあった。図書館で借りたので、貸し出し期限の三週間で読み終わるかどうか不安だったが、なんと二週間で読了してしまった。すごく面白かった。

バルガス=リョサという作家はペルーの作家。この作品で2010年のノーベル文学賞に決定したらしい。

「チボ」というのはスペイン語で「山羊」という意味らしい。そしてこの作品はドミニカ共和国の大統領よりさらに上に位置した「総督」のトルヒーリョという実在の独裁者の暗殺という歴史的事件を、物語の土台として描いている。「チボ」というのはこの独裁者を指しているらしいし、「狂宴」と訳されたことばにも、さまざまな仕掛けがあると、訳者解説で述べられていた。

この作家の文章はすごい迫力がある。読んでいてそのパワーには圧倒されるようだ。このトルヒーリョのような独裁者は、人間の歴史上に数え切れないほど登場した。今でもカダフィなどという人物もいた。そのほかにもさまざまな人物が実在するが、人間社会というものは、このような独裁者を常に求めているのではないか。人間というものはそういうあらゆる権力を渇望するものであり、そういう罪人の集合体が人間社会なのだ。すなわち実力のある権力者を熱狂的に迎えるというのが、罪人人間の社会らしい。あらゆるスポーツに熱狂するのも同じ構造ではないか。

この『チボの狂宴』という作品は、独裁者暗殺という緊迫した物語と同時に、その独裁政治の支配に巻き込まれた一人の女性の破滅と再生を描いている。この女性に関するところは、この長編小説の最初と最後に出てくるだけ。しかし作家はこのことを重要なこととして描きたかったのだろう。感動的だった。

この少女を独裁者の魔手から救い出すために取った手段を描くあたりの文章はものすごい迫力だと思った。まさに一瞬の出来事であった。ドミニカ共和国にあった修道院は、この少女を独裁者の手から保護すると直ちに米国にある同じ派の修道院に逃れさせる。巨大な権力の物語が語られた背景からは、この一瞬の対抗処置を描くあたりの文章は、なんとそれはわずか一ページにしかすぎなかったが、すごい迫力であった。

全体として「人間存在への愛」が語られていると思う。

2011.08.06

アロマオイルの世界

「生活の木」というサイトでアロマオイルを注文した。

以前八王子にいたときにある人からオイルと、そのオイルで芳香浴ができるアロマランプというのをいただいたことがある。その時からこのサイトにアクセスして、香りの世界の豊かさを感じていた。

しかしそのころは副鼻腔炎が悪化していて呼吸をするのもままならないという状態で、香りを楽しむというところまではとても行かなかった。

その後こちらに来てから、信州医大病院で副鼻腔炎の手術をしてもらって鼻の状態は改善した。その後もときどき調子が悪くなることがあって信大まで通院したことがある。しかし今年になって薬局で「鼻づまり、鼻水」などの症状に効くという薬を買って使ってみた。鼻の中に薬品をスプレーするというもの。これを使うようになってから調子も良くなり、その分いろいろな香りがずいぶん気になるようになってきた。

以前にもらったアロマランプというのが寝室の枕元に転がっていて埃にまみれているを、ずうっと気にしていたが、これを再度使ってみようと思うようになった。さいわい上記のサイトではネット注文ができるというので、アロマオイルにはほとんど予備知識がないが、とりあえず二種類のものを注文してみた。すると立派な季刊雑誌とともにオイルが送られてきた。

注文したものは「フェンネル」というものと「ブラックペッパー」というもの。どちらも普段食卓にあって愛用していたものなので、とりあえずこれでいってみようという感じだった。早速昨夜フェンネルの芳香浴を楽しんだ。素晴らしい雰囲気を作り出してくれるものだと驚きだった。

同時に送られてきた季刊雑誌にはさまざまなオイルの紹介が掲載されている。しばらく研究してみたいと思った。まずは基本的な香りを自分のものにしたいと思う。それにしてもメーカーと販売店の宣伝に乗せられるわけではないが、香りの世界というものは、いままでほとんど経験したことがなかったが、とても豊かなものなのだなと思う。ふだん一般的にはそんなに気にすることはなく日常的な話題にもならない。しかし香りを楽しむことを目的にして香りをかぐということの豊かさを楽しんでいる。

香りをかぐという行為は、たとえば文学作品などを読むときの、文章をよく味わうという繊細な感じ、あるいはオーケストラの演奏を、オーケストラ楽譜(すなわち「スコア」)を見ながら聞くという全身を耳にするという感じ、そういう感じ方と同じように、香りの微妙な違いに全身で反応するという、そういう緻密さが自分の感動を刺激するのだろう。

2010.03.11

佐久平の美術展

 長野県の東信地区にある佐久市では、毎年この地域の中で美術作品を制作している人たちから作品を募集し美術展を行っている。今年で24回目で、展示会場も今回から佐久市近代美術館という素晴らしい会場に変わった。

 自分が今、行っている絵画教室の先生から「出してみたら」と言われて、少し前に制作したものだけどパステルで描いて気に入っている作品を出してみた。結果は入選だった。これがその作品。大きさは半切だからたぶんB2の大きさ。
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 最近では公募展でもほとんど50号以上の大作を出品する人が多い。そういう中で小さいパステル画などは、とても見劣りがするもの。洋画、日本画、彫刻など、約150点が入選し展示されていたが、かなりの詰めようで、きちきちに展示されていた。そういう中で自分の作品がどのように展示されているのか不安になりながら会場を巡っていた。見ると100号の油彩の大作の隣の、かどのところに展示されていた。しかし大作と並べられて見劣りがするかと心配したが、この作品も一応の存在感が感じられて、自分としては満足であった。

2008.06.04

佳作入賞「Owmoi Mwno」

Imgp0520b この作品は一昨年に描いたものです。自分では気に入っていましたが、他の人に見せるようなものでもないのでしまってありました。
長野市の画材店が主催するアマチュア画家の公募展が毎年春と秋にあります。今年の春は出すものがなくてどうしようか迷っていましたが、この作品を額装して出品しました。
すると思いがけず「佳作」に入賞しました。春の公募展は4号以下という制限があります。この作品は自分でも初めてこのような抽象的なものを描いたものです。タイトルの「Owmoi Mwno」は要するに「重いもの」です。ほかに意味はありません。春と夏、この二年間出品してきて、少し変わったものでなければ入選はしても何かの賞はもらえないことがわかってきました。それでを出してみましたところ入賞したというところです。

2005.10.27

竜王戦第一局

昨日、竜王戦の第一局が行われましたね。

木村一基七段の挑戦で、渡辺明竜王にとっては初防衛戦でした。しかし渡辺竜王は強かったですね。途中は木村七段のほうが有利かと思っていましたが、渡辺竜王の攻めが厳しかったですよね。

ずっとWeb上で観戦していましたが、NHKが放送していたのですね。見ればよかった。でも放送中には一手しか進まなかったそうですね。

まあ、とりあえずは挑戦者を応援していますが……。

2005.06.25

名人戦・森内防衛成る

森内名人がついに名人位を防衛しましたね。

今回の名人戦七局は、どれも実に見ごたえのある将棋でした。将棋というものはつくづく面白いものだと思いました。同時に戦う棋士はほんとうに大変だなと思いました。

昨夜、九時半ころまで毎日新聞のインターネット中継を見ていましたが、森内名人が5三角と打った時点で、羽生さん投了かと思いながらパソコンを落としました。この将棋も相矢倉のがっちりと組んだ戦いでしたが、森内さんが例のねばりを出し切って羽生さんの攻撃を受け流してしまったところが勝因でしょうね。

2005.06.23

将棋名人戦最終局

将棋名人戦最終局が始まりました。

第6戦と同じく矢倉戦になりましたね。駒がぶつかる寸前で封じ手になって、羽生王将が封じました。

明日は最初から駒がぶつかりそうな気配です。

2005.06.18

小山田二郎展

 東京駅の「東京ステーションギャラリー」で行われた「小山田二郎展」を見に行きました。

 この方の作品は以前に画集や美術雑誌などで見ていて、すごい作品だなぁと感心していました。今回東京ステーションギャラリーで個展が開催されるというので、見に行きました。ぜひ原画を見ておきたいと思っていたからです。油絵38点、水彩画77点、スケッチ26点の作品を一度に見ることができるというのは恵まれたチャンスでした。 
 この作家の作品で有名なものは「鳥女」と題する作品で、鳥の姿で女を描いたのか、女の姿で鳥を描いたのか、微妙な作品です。油絵でもそんなに厚塗りをするわけではありませんが、水彩画のようなタッチに絵筆の尻などで激しく削り取った線が交錯しており、見事な迫力です。

 特に最高傑作とも言える「ピエタ」は、伝統的な手法とはまったくかけ離れた姿で、イエスの死体を抱く母マリヤの姿が描かれます。この作品はすべての筆致が、隅々まで計算されつくしたような線が交錯していて、非常な迫力と作品全体に一つもおろそかにできないという緊張感あります。
 水彩画の一つにつけられた解説によれば、水彩画も何回も重ね塗りをする結果、紙が破れるが、その紙の破れも作品の中に取り入れてしまうという。この説明を見てもこの作家が、徹底して自分の内面と、死に物狂いで立ち向かったことを感じさせるものがある。

2005.06.16

名人戦・羽生タイに持ち込む

今回の第六戦は両者がっちりとやぐらに構えて、見ごたえのある一局でしたね。

62手目の3五角と歩をはらって、さっと7一に引き上げて、代わりに銀を繰り出すあたりは、羽生さん見事な指しまわしだったと思いました。

これで一勝三敗からニ連勝して、ついに三勝三敗のタイに持ち込みました。さすがだと思います。

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